研究概要 |
本研究は、ザプライチェーンネットワーク(Supply Chain Network : SCN)と物流との関係性、および、物流施策がSCNに及ぼす影響を分析するための手法を構築し、交通ネットワークとの相互作用を考慮したうえで、効果的な施策を検討するものである。 研究期間の最終年度である本年度は、以下の三項目に着手した。 1.企業へのヒアリング調査や関連する学会への参加を通じて改良点を発見し、それをモデル化や計算に反映させる。 2,これまでに開発したサプライチェーンネットワーク均衡(SCNE)モデルをベースに、他主体の行動の不確実性を考慮したモデル、および、交通ネットワークとの相互作用を考慮したモデルへと拡張する。 3.これらのモデルを用いて、交通ネットワークの新設・改良の効果、および、他主体の行動予測の不確実性がSCNの効率性に及ぼす影響などについて分析する。 項目1については、考慮すべきSCN形態などについて有用な知見を得るとともに、それらをモデル化や数値計算に反映させた。 項目2については、SCN上で行動する各主体の意思決定を考慮したSCNEモデルを、他主体の行動把握の不確実性を考慮した確率的モデルへと拡張した。また、交通ネットワークモデルとSCNEモデルを統合することにより、双方を考慮したスーパーネットワーク均衡(SC-MT-SNE)モデルへと拡充した。 項目3においては、現実との整合性に配慮した仮想ネットワークを対象に数値計算を行った。その結果、以下のような知見が得られた。 1.不確実性が商品の生産量や物流量の減少につながり、SCNの効率性が低下する。 2.混雑した道路区間の容量増大は、SCNの効率化につながり、商品の生産量、物流量やSCN上の総余剰が増大する。 3.道路の新設は、容量増大と同様の効果をもたらすとともに、SCN上の流通経路に大きな変化を与える。
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