研究概要 |
国土計画を考える上で,過疎問題の重要性は論を待たない.人口減少・高齢化による影響は都市部だけの問題でなく,地方部(いわゆる過疎地域)でより深刻化しつつある.本来,国土計画では,今後のわが国の社会厚生を考える上で,都市部と地方部の社会基盤の整備・維持・財源調達をどのように実施していくかを考えていく必要がある.しかしながら,過疎問題を考える上で必要となる,情報(基盤データ)が不足しており,入手可能なデータは,限られた社会経済指標のみである.本研究の目的は,過疎問題を考える上で最低限必要となる基盤データを整備することである.特に,一般的に整備された経済指標のみではなく,過疎地域という社会経済状況をより正確に表現可能なデータ整備(われわれは,過疎地域における時間概念を考慮した社会会計表:"過疎地時間SAM"と呼ぶ)を行うことを目的としている.この過疎地時間SAMは,通常の社会会計表を時間単位で再構築し,それを過疎地域の社会活動を表現可能なように改良したものである.本年度はマクロ的近接法・ミクロ的近接法の基本的な考え方を整理し,鳥取県内の市町村を対象に実証的分析を実施した.
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