研究概要 |
マーケティングサイエンスの分野での潜在クラスモデルの適用研究を整理した. 実証研究用データ獲得のため,(1)小田急ロマンスカーを含む個票ベースの交通機関選択データの収集として2010年11月20日・21日に箱根への観光客を対象にアンケート調査を行った.質問項目は箱根までの利用交通手段・旅行行動・個人属性である.直接配布郵送回収とし,2,142枚配布し,回収は978枚(回収率45.7%)であった.(2)室内実験による優等列車内の空間デザインの利用者評価データを44名分取得した.(3)地方鉄道の交通機関選択データの取得を行った.ひたちなか海浜鉄道湊線沿線地域での利用実態および沿線住民を対象に2010年11月26日~12月12日に,訪問配布,留置き回収方式でアンケート調査を実施し,配布枚数は122枚,回収枚数は110枚(回収率90%)となった. アプリオリ潜在クラスモデルの推定の前段階として,(1),(2)および過年度に収集したデータを利用して,3種のモデル群(オーダードロジットモデルによる車内デザインに対する快適度関数,ロジットモデルによる列車選択モデル,ロジットモデルによる交通機関選択モデル)を構築し,それぞれ良好な再現精度を確保した.以上の研究成果を土木学会論文集へ投稿準備中である.次年度にはこのデータを用いて,利用者の嗜好性でセグメントを行う潜在クラスモデルの推定を行う.一方,(3)に関しては,自動車需要の固定層が多く一般的な交通機関選択モデルでは良好なモデルが作成できていないが,これも次年度に固定層と選択層を分離する潜在クラスモデルの適用試験を行いたい.
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