研究課題
本研究は、移動の容易さの地域による差異を「移動の地域格差」として捉え、この格差を定量的に明らかにすることを目的としている。具体的には、公共交通による都市間移動の地域格差について、交通サービスの実績データを用いて分析を行い、都市間移動の地域格差の実態を明らかにすることを目指している。本研究で明らかにする都市間移動の地域格差は、近年わが国で起こっている一極・一軸集中、地方衰退という現状を、公共交通の観点から是正するための分析ツールとして利用でき、公平な公共交通サービスの向上につながると考えられる。本年度は、移動の地域格差モデルの構築とデータの精緻化に関して行った。移動の地域格差モデルの構築では、DEAモデルを用いて個人が移動する際の目的地への移動の容易さを示した「個人モビリティ」指標に加えてそれらに需要、人口規模を考慮したものをそれぞれ「需要考慮モビリティ」「人口考慮モビリティ」として提案し、日本の代表地方都市9都市をケーススタディとして地域格差の所在について確認をした。データの精緻化では、国土交通省で開発している総合交通分析システム(NITAS)を活用しており、全国の任意のゾーン間の最短時間・費用・距離等を交通手段(自動車、鉄道、航空、船舶及びそれらの組合せ)ごとに検索することにより、その経路・所要時間・費用・待ち時間の検索結果の出力が可能である。その結果を用いて都市の人口規模、需要などが反映できることを確認した。その結果、需要考慮モビリティには地域格差があまり見られなかったが、個人モビリティと人口考慮モビリティにおいて、低い都市間が存在していることが明らかになった。来年度は、今年度得られた結果よりモデルの適用を行う。具体的には日本の地域都市間の分析及び国際間比較を行い、地域格差の所在とその規模を把握する予定である。
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土木計画学研究・論文集Vol.26 no.4
ページ: 807-816
Special Issue of Nihon University College of Science and Technology 2008 Annual Conference, Short Notes Number 3
ページ: 3-6