研究概要 |
放置自転車「対策」から,魅力あるまちづくりを進めるための自転車「政策」に転換するために,次のような研究を行い実績をあげた. 1.放置自転車の駐輪時間把握を行う調査の実施 堺市において,自転車カゴに時間毎に色の異なるティッシュを配布し,時間単位で残存量をカウントした.簡易に放置時間の観測ができることを確認でき,他の地域での展開も可能であることを確認した. 2.放置自転車台数を削減するためのコミュニティサイクルシステム(以下,CCSと略)調査 欧州を中心に近年,導入が進んでいるCCSの実態について,(1)利用対象者を住民に限定しているのか,それ以外の人達も対象としているのか,(2)CCSの導入主体が行政なのか,民間なのかの視点から,パリなど複数の都市へ行き,現地調査とヒアリングを行った.この結果,各都市の導入目的,都市構造,住宅構造などで異なるシステムの導入が行われていることが明確となった. 3.自転車の交通行動を把握するためのパーソントリップ調査データの集計解析 多様な交通手段の交通行動を把握できるパーソントリップ調査のデータを自転車に注目して集計解析することで,目的別の利用時間分布の差や駅ごとに利用形態の違いを把握することができた. 以上の研究結果は,研究協力者の神戸大学冨田安夫准教授及び同大学院生芥川善典の修士論文「堺市における放置自転車対策の事後調査とコミュニティサイクルシステム導入の可能性」にまとめられている.なお,上記2.については,2010年度発行予定の神戸国際大学「経済経営論集第30巻第1号」に掲載予定である.
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