研究概要 |
従来から行われている放置自転車の撤去とマナーキャンペーンだけでは,放置自転車を大きく減少させることには限界がある.そこで自転車利用の実態に即した駐輪場,他の手段への転換可能性の把握,コミュニティサイクルなど方策を地域の状況に合わせて組み合わせる総合的な政策が必要である.本研究では,こうした考え方にもとづき,自転車利用の実態をパーソントリップ調査のデータ分析などを用いて確認し,他の交通手段への転換可能性などの検討を行った.パーソントリップ調査は自転車の利用目的と移動の把握や駐輪場所を把握することが出来る特徴がある.堺市を事例として分析を行ったが,駐輪時間分布に応じた柔軟な駐輪場施策を実施することが期待できることが明らかとなった. また,昨年度実施した欧州におけるコミュニティサイクルの実態調査や我が国におけるレンタサイクル事業などから,導入にあたっては地域の自転車利用特性を十分に把握する必要があることが認識できた IT技術を用いて,短時間駐輪と長時間のものについて課金を変更する駐輪システム(長時間のものを多く課金する)の利用実態調査を行った.その結果,駐輪場の利用者の回転率が上がり,放置自転車の削減に繋がることを把握した.また,こうしたシステムの利用者からも,柔軟な課金システムについては好感を持って認知され,放置自転車の減少につながることが明らかとなった.
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