研究課題/領域番号 |
21560567
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
村尾 直人 北海道大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00190869)
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研究分担者 |
山形 定 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教 (80220242)
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キーワード | 大気エアロゾル / 東アジア / 吸収係数 / 気候影響 / 発生源-リセプター関係 / 広域汚染 / 化学輸送モデル / 地域気象モデル |
研究概要 |
本研究では、中国が進めている大気汚染・温暖化対策が、短寿命の微粒子成分の分布をどのように変え、どのような気候影響をもたらすものであるかを明らかにするための基礎資料を得ることを研究の目的として、平成21年度には以下の項目について、研究を実施した。 1.局所汚染と広域汚染を分離する手法を用いた観測に基づく各種排出源の寄与推定 本研究班が開発したテープ式吸収率計を、長崎県福江島に加えて、札幌市に6か所新たに設置し、大気中の微粒子の吸収係数の測定を行った。福江島については、過去のデータも含めて、統計的流跡線解析を行い、季節別に発生源の推定を行い、結果をエアロゾル学会で発表した。また札幌の観測については、地域汚染と広域汚染を分離する手法を試みた。その結果、札幌市全体にわたる高濃度現象が多数見つかり、広域汚染の実態を把握できた。 2.地域気象モデルを用いた数値シミュレーション エアロゾルの光学特性がどの程度、気象場に影響を与えるかを算出する手法の開発を行った。まず、様々なエアロゾル組成に対して、放射伝達計算を行い、可視領域での大気加熱率の高度分布を求めた。計算された加熱率を地域気象モデル(WRF)に与え、エアロゾルの加熱率を考慮した場合と、エアロゾルを考慮しない場合の計算結果を比較し、気象場への影響を評価できることを確認した。今後、蓄積される観測データをもとにすれば、将来のエアロゾルの質の変化に対応した気象影響を評価できる。 3.化学輸送モデルを用いた数値シミュレーション ブラックカーボンを対象として、化学輸送モデル(CAMx)を用いた発生源分配について試算を行い、CAMxが、これまでのモデル計算に比べて、発生源の種類や地域に柔軟に対応できることを確認した。
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