有明海干潟底泥から回収した水溶性細胞外多糖類様物質(EPS)を有機物分解処理した底泥の懸濁液に添加した。回転粘度計のスリーブの中で人工海水懸濁液では非ニュートン挙動を示して、ずり速度に比例してずり応力が増加した。底泥の粒子径は約1.3倍に増加した。これは底泥に吸着したEPSが海水のカチオンにより、ネットワークを形成するためと考えられた。 付着藻類を起源とする細胞外物質の底泥粒子の凝集や安定に関する影響を実験室的に検討した。この多糖類は水溶性であり、凝集や安定化に関する影響を流動特性実験で調べた。抽出多糖溶液とその底泥懸濁溶液やカルシウム共存状態での流動は、ずり速度可変の粘度計を用いて測定した。抽出溶液はビンガム挙動を示し、粘度は経過時間とともに増加した。これは水和反応によるものと考えられた。抽出多糖が共存する懸濁液では非ビンガム挙動を示し、チキソトロピー性を示した。抽出多糖は底泥の安定化に関係して、その効果はカルシウムによって増すことがわかった。
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