1. 透過型電子顕微鏡による観察 Legionella pneumophila LPO-1をAcanthamoeba castellanii ATCC30234に35℃で3時間感染させ、15℃インキュベーション2週間後のアメーバを、透過型電子顕微鏡にて観察した。電子顕微鏡写真において、アメーバ細胞内にはレジオネラが多く存在していることが確認された。その一方でCulture法によって、アメーバ内にコロニー形成可能なレジオネラ数が著しく減少していることを確認した。 2. エチジウムモノアザイド処理リアルタイムPCR 生きた状態のレジオネラ数を確認することができるエチジウムモノアザイド処理リアルタイムPCRを、L.pneumophila LPO-1をAcanthamoeba castellanii ATCC30234に35℃で3時間感染、15℃インキュベーション後、0時間、1週間、3週間で測定した。その結果、Culture法ではアメーバ内レジオネラが検出できなかったのに対し、エチジウムモノアザイド処理リアルタイムPCRでは生きた状態のレジオネラ菌がアメーバ内に存在することを確認し、透過型電子顕微鏡のデータを裏付け、20℃以下の自然環境水では、レジオネラがアメーバ内でVNC化していることを証拠づけた。これは初めての発見と思われ重要である。 3. 環境水中と臨床から分離されるれ血清グループ1型L.pneumophilaの病原性の相違 我々は、臨床から90%以上分離される血清グループ1型のL.pneumophilaと、環境から分離されるL.pneumophila I型では、特定の病原性因子の保有にいくつかの大きな相違があることを見出した。この結果をもとに、臨床株と、環境水株血清グループ1型のそれぞれの代表株を用い、温度の違いでアメーバとの相互作用に、臨床分離株、環境分離株で相違があるかどうかを検討し、臨床分離株でなぜ特有のタイプの血清グループ1型が集中するかについても明らかにしていく。
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