研究課題/領域番号 |
21560574
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
柳瀬 龍二 福岡大学, 環境保全センター, 准教授 (20131849)
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研究分担者 |
松藤 康司 福岡大学, 工学部, 教授 (40078663)
重松 幹二 福岡大学, 工学部, 教授 (00242743)
正本 博士 福岡大学, 工学部, 助手 (30122740)
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キーワード | 硫化水素 / 廃石膏ボード / 最終処分場 / 発生抑制 / 廃棄物 / 埋立構造 |
研究概要 |
21年度は(1)硫化水素対策の基礎実験と(2)廃石膏ボードと廃棄物の混合埋立実験の2つのテーマについて検討した。(1)基礎実験では埋立地から発生する硫化水素の大気拡散を抑制させるための手法として、硫化水素を硫化物として固定が可能な鉄分を含有する数種の廃棄物を用いて、硫化水素の吸収量を求めた。硫化水素吸収量は鉄砂>ビオトープサンド>鋳物廃砂>真砂土の順となり、鉄系廃棄物が硫化水素の吸収に効果的あることが確認できた。(2)廃石膏ボードと廃棄物を混合埋立した場合の硫化水素の発生条件を検討した。硫化水素が発生する埋立地の条件として、有機物含有量の違いとそのpHの違い(焼却灰と不燃ごみ破砕残渣の違い)と埋立構造の違い(準好気性:好気性雰囲気と嫌気性:嫌気性雰囲気の違い)を想定し、小型埋立実験槽を用いて硫化水素が発生する条件と発生を抑制する条件を検討した。(1)準好気性埋立の場合:廃石膏ボードと廃棄物を混合埋立した埋立実験でも、準好気性条件下では硫化水素の発生がほとんど無く、埋立実験槽内でも廃石膏ボードが硫酸カルシウムの状態で存在し、硫酸還元菌による分解が起きていない。また、廃石膏ボードと混合する廃棄物の違い(焼却灰や破砕残渣)に関係なく硫化水素の発生は見られなかった。(2)嫌気性埋立の場合:嫌気性条件下では廃石膏ボード単独や破砕残渣と混合埋立すると、15℃以上、浸出水中のTOCが40mg/l以上、pHが9以下では、高濃度の硫化水素が発生し、温度が低くなる冬季には硫化水素の発生が小さくなった。一方、同じ嫌気性条件下でも焼却灰と混合埋立をした場合は硫化水素がほとんど発生しなかった。これらの結果から、硫化水素が発生する条件は中性でTOCが40mg/l以上、15℃以上の嫌気性埋立の場合、反対に、焼却灰と混合埋立した場合と好気性雰囲気の環境下では硫化水素が発生しない条件である事を確認した。
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