研究課題/領域番号 |
21560576
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
山崎 惟義 福岡大学, 工学部, 教授 (00038100)
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研究分担者 |
諸岡 成治 福岡大学, 工学部, 教授 (60011079)
渡辺 亮一 福岡大学, 工学部, 准教授 (50299541)
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キーワード | 高酸素 / 博多湾 / 下水処理 / 海水淡水化 / 貧酸素 |
研究概要 |
福岡市にある海水淡水化施設(まみずピア)では、逆浸透膜法によって水道水を生産している。その副産物である濃縮海水は、和白水処理センターの下水処理水と混合され博多湾内に排出されている(混合放流水)。本研究では、混合放流水のDOを増加することで貧酸素の拡大等が問題視されている博多湾生態系の再生を行うことを目的とし、混合前の下水処理水の高酸素化を試みた。 まず、下水処理水の高酸素化について効果と最適な高酸素化方法を検討した。高酸素化は、和白水処理センターの下水処理水の一部をポンプアップし純酸素のマイクロバブルと混合た後に下水処理水へ返送することで行った。マイクロバブルと混合した処理水を水面に放水した場合(Case1)のDO濃度は5.9mg/Lから8.7mg/Lまで上昇し、水中に放水した場合(Case2)では5.5mg/Lから15.3mg/Lまで上昇した。この違いはマイクロバブルと混合した段階では処理水は過飽和の状態となっているため、水表面から水面を乱しながら放水すると、空気中へと拡散しやすいためであると考えられる。 また、高酸素化した下水処理水を管路輸送する間のDO減少と、濃縮排水との混合により最終的に混合放流水のDO濃度変化に及ぼす効果を検討した。Case1の場合、混合槽ではDOの濃度の上昇は0.36mg/L、Case2の場合では0.48mg/L認められた。和白水処理センターから混合槽までは輸送管長は約4kmほどあり、下水処理量により到達するまでに3時間~5時間かかるためこの間に管内の微生物により高酸素化させた増加分のほとんどが消費されていることが分かった。海域への放流水の酸素濃度を劇的に向上させ、生態系再生に効果的に作用させるには処理場の最終部では不十分で、より放流口に近い場所での高酸素化の必要がある。
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