研究概要 |
福岡市にある海水淡水化施設(まみずピア)では、逆浸透膜法によって水道水をしている。その副産物である濃縮海水は、和白水処理センターの下水処理水と混合され博多湾内に排出されている(混合放流水)。本研究では、混合放流水のDOを増加することで貧酸素の拡大等が問題視されている博多湾生態系の再生を行うことを目的とし、混合排水の高酸素化を試みた。結果は下記のとおりである。 (1)海水淡水化排水・下水処理水の混合槽において散気管を用いて高濃度酸素を供給しをた結果、槽内平均Doは5.7mg/Lから9mg/L程度まで上昇し,酸素過飽和の状態で放流口より放水を行えるシステムを構築した。 (2)仮設施設にて2日間の運転を行ったところ,高酸素化により放流口周辺で放流水によるDOの上昇を観測した。 (3)放流口を中心とした格子上に測点を配列し,各測定地点において、Do、水温、塩分を測定した結果,混合放流水が沿岸と平行に1000m,狭窄部と垂直に300m,厚さ1m程度の範囲で拡がっていることが明らかとなった。本年度は大規模な貧酸素水塊が発生しなかったことから,観測結果を基に,貧酸素発生時のDoの3次元的広がり算出した。 (4)混合排水のDo濃度増加による放流口周辺海域の底層酸素濃度増加の解明 多項目水質計による水質測定の結果,(2)で示したように底層で酸素濃度の上昇を確認した。本年度は台風6号の影響で鉛直混合が促進され,貧酸素が解消されて以降貧酸素水塊の形成が見られなかったため混合放流水の高酸素化による生物への明らかな影響は見られなかった。
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