研究概要 |
本研究は,コンクリートの乾燥時の水分逸散と温度変化時の熱拡散を水熱同時移動より捉えて,その体積変化を評価し,その体積変化が拘束された時のひび割れ発生限界値を,拘束状態下の破壊進行領域にあたる微細ひび割れ局所化の開始時と考え,その微細ひび割れ局所化メカニズムを定量的に解明し,RC造構造物の耐久性向上に重要なかぶりコンクリートのひび割れに対する新たな合理的制御技術を開発する。平成21年度の研究成果は次になる。若材齢における高強度繊維補強モルタルについて,拘束応力を一定に作用させた引張クリープ試験および自由収縮歪量の変化を一定に制御した引張リラクセーション試験を実施し,両者の関係を実験的に検討した。その結果,1;引張リラクセーション試験時の拘束緩和応力の経時変化は,ある拘束期間を過ぎると変化しにくくなる傾向にあること,2;引張リラクセーション試験時の拘束緩和応力と引張クリープ試験時の拘束緩和歪の関係について,応力強度比が大きくなるほど,緩和応力が大きくなる傾向にあること,3;拘束緩和応力と拘束緩和歪の関係は,正比例の関係になく,指数関数的な関係であることを示した。また,水化学ポテンシャルを変数とした水熱同時移動による乾燥解析と,弾性バネの連成で要素構成した立体トラス格子の変形解析と,バネ要素の仮想切断に伴うバネ要素内の作用軸力の再配分繰り返しによるひび割れパターン形成解析を連成させて,乾燥収縮における網目状ひび割れパターン形成に関する数値解析条件を検討した。その結果,1;3次元拘束が可能な変形解析が必要であること,2;ひび割れパターン軌跡はバネ要素の仮想切断に伴う作用軸力の再配分による破壊除荷手続き繰り返しの変形解析が必要であること,3;網目状ひび割れパターンは材料不均一性を考慮することと拘束壌界を破壊させないこととバネ要素細分割が必要なことを示した。
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