研究概要 |
本研究は,コンクリートの乾燥時の水分逸散と温度変化時の熱拡散を水熱同時移動より捉えて,その体積変化を評価し,その体積変化が拘束された時のひび割れ発生状況を,拘束状態下の破壊進行領域にあたる微細ひび割れ局所化の開始時と考え,その微細ひび割れ局所化メカニズムを解明し,RC造構造物の耐久性向上に重要なかぶりコンクリートのひび割れに対する新たな合理的制御技術を開発することを目的とした。平成23年度の研究成果は次になる。1;AIJ収縮ひび割れ指針で提示されているヤング係数式と収縮ひずみ式とスペシフィッククリープ式を組み込んだ鉄筋付着特性を考慮したひび割れ幅解析プログラムを作成し,1次元にモデル化できるRC造版状部材のひび割れ幅解析を実行できるようにした。2;ひび割れ発生前の引張クリープは,弾性体部全域に作用しており,この引張クリープひずみが微細ひび割れ累積と考えて引張クリープ作用により弾性体部を損傷させているとして,引張クリープひずみ発現によってヤング係数を通常のヤング係数から低減させてのひび割れ幅解析を実施できるようにし,長期材齢のひび割れ発生目が若干遅延する影響が評価できた。3;建築物外壁は,躯体,仕上材料,金物等付属物の多種多様な材料を組合せて造られ,その全体で建築の壁部材としての性能を発揮している。RC造壁を対象に,2重待機冗長系並列モデルの適用による信頼性評価に及ぼす影響を検討し,仕上材料の平均耐用年数と確率密度と,また,RC造躯体のかぶり厚さと中性化深さの抵抗R-作用Sモデルによる確率を畳込み積分して,待機冗長系並列モデルの信頼性を求める評価手法を開発し,かぶりコンクリートの中性化を事例に,仕上材料の平均耐用年数に伴うRC造躯体のバリア機能のあいまいさを,2重待機冗長系並列モデルによる信頼度となる確率で定量的に示すことができた。
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