研究概要 |
近年,建物高さが200mにまで達するような超高層RC建物が建設され、都市部を中心に土地利用の高密度化が進んでいる。このような超高層RC建物では,Fc120,SD685レベル以上の超高強度RC材料が用いられ、特にコンクリートについては、鋼繊維等の補強材が混入された超高強度コンクリートが使用されている。すわなち、超高層RC建物に必要な超高強度コンクリートの安全性・信頼性向上のために鋼繊維補強が重要であり、その補強効果として、コンクリートの引張強度、引張塑性能力の向上によるひび割れ分散効果が考えられ、FEM解析による抵抗機構の合理的な理解が求められている。 本研究では、鋼繊維補強の部材の耐力劣化、変形能力への寄与度とその抵抗機構をFEM解析により検討し、実験結果と比較、検証することを目的とした。平成23年度には、3次元FEM解析により、以下について検討した。 1)部材の耐力劣化が部材の損傷度に与える影響: 耐力劣化が部材の終局や安定の限界状態に与える影響を提示できれば、今後の設計に大いに役立つ。現在の部材性能評価法で想定しているのは復元力特性の包絡線だけであり、合理的な部材の性能評価を目指すためには、地震動の繰り返しによる部材の性能劣化を表す損傷度の定量化が、今後不可欠である。部材の損傷度の定量化の合理的な根拠を示すために、部材の復元力特性だけでなく、破壊プロセスやコンクリートの圧壊、主筋・横補強筋の降伏、さらには繰り返しによる累積消費エネルギーによる評価を行った。 2)部材の耐力劣化・損傷度が建物全体の損傷度に与える影響: この影響を定量化し、建物全体をミクロFEM解析で解き、部材の耐力劣化・損傷度が建物全体の損傷度に与える影響を検討した。
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