申請者らが開発した「繊維化塑性関節モデル」によれば、種々の鋼材・RC部材・SRC部および半剛接接合部が混在する実規模の骨組が、特別なデータベース等を必要とすることなく30万円程度のパーソナルコンピュータで解析が可能である。また、釣り合い経路への自動回帰機能を持つmodified incremental stiffness methodを基礎として、部材に生じる弾性変形と塑性変形が厳密に分離できる解法であるため、大変形を生じた骨組の不平衡力が極めて精度よく評価でき、崩壊解析に力を発揮する。 本研究は、「繊維化塑性関節モデル」を用いたハイブリッド骨組の構造性能解析コードの実用性をさらに高めるため、ブレースと骨組本体の接合部に生じる偏心の大きさがブレースの弾塑性座屈挙動に及ぼす影響と、この影響を打ち消す働きをする接合部剛性の効果を実験によって調べるとともに、骨組の解析においてこれらの性状が自動的に考慮できるように上記の解析コードの性能を向上させるものである。 本年度は、ブレース材として用いられる等辺アングル材の偏心圧縮実験およびその解析を行った。アングル材は非対称断面材であるため、偏心量が大きくかつ変形が構面外に生じ、ブレース材としては数値解析上最も扱い難い部材であるが、上記コードによる解析結果は実験から得られたアングル材の弾塑性挙動をよくとらえており、本解法は実用上十分な精度を有している。
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