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今年度は、次の3つの課題について、研究を進めた。
1.露出型柱脚や筋違等がもつスリップ型の履歴特性が重層骨組の地震応答に及ぼす影響について、地震応答解析結果に基づいて数値的に検討した。その結果、柱脚と筋違の何れについても、履歴特性が地震応答性状に及ぼす影響は比較的小さく、移動硬化型の履歴特性を持つ場合に比べて、平均的には1割程度最大層間変位角応答が増大する程度であること等を明らかにした。
2.平面骨組の各層の最大層間変位角応答を一様化するのに必要な柱梁耐力比については既に明らかにしている。今年度は、2方向水平地動を受ける重層骨組を対象に、各層の最大層間変位角応答を一様化するのに必要な柱梁耐力比について検討した。その結果、構面から45°方向では、2方向の梁が抵抗するので、構面方向に比べて耐力が増大すると共に柱梁耐力比が小さくなるが、この45方向の柱梁耐力比が平面骨組で求めた必要値を満たすように柱梁耐力比を決める必要があることを明らかにした。
3.偏心をもつ重層骨組の適正部材強度分布を明らかにするために、単純化動力学モデルの開発を行った。このモデルは各層に6つの自由度をもつだけの単純なモデルであるが、柱梁耐力比などの崩壊機構特性に関する情報や、耐力や剛性のさまざまな偏心を表現できるように考えている。理論的な数式展開やプログラミングは一応終了し、偏心をもつ多層重層骨組の地震応答を近似できるという解析例を得るに至っている。しかし、今後更に詳細な検討の余地は残っている。
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