研究概要 |
鉄筋コンクリート造建物を対象に大地震時に大変形を経験しても,構造体の損傷を軽微に留め,残留変形角を使用上問題にならない程度に抑制する技術の開発を目指している。以下のことを明らかにした。 (1)梁の上端筋を高強度鉄筋にすることによる残留変形抑制機構を部材内部に内蔵させるRC梁の概念を提案して,制震構造と同様に最大応答後の振動を利用して残留変形が抑制される効果を準静的加力実験により明らかにしている。改良される梁の履歴ループをモデル化して,残留変形が許容範囲(1/400rad.以内)に抑制する条件を明らかにした。 また、設計で必要となる二次剛性比と最大経験変形角を変数とする残留変形角の曲面および残留変形角を1/400rad.以内に抑制する条件を定量的に明らかにした。 (2)最下層の1階の柱を対象に,最大応答変形後の残存振動により残留変形抑制効果を発揮させるRC柱の準静的加力実験を行い,残存振動による残留変形の抑制効果と,残留変形角を抑制する主変数および残留変形角を1/400rad.以内に抑制する条件を明らかにした。特に柱では、プレストレスを導入しなくても,柱に長期軸力が存在すると残存振動の効果により残留変形が抑制された。残留変形を許容範囲内に抑制する範囲においては,残留変形を制御する主変数は復元モーメント比γとなる。引張鉄筋比が0.53%~1.0%の柱でγが0.6以上であれば,最大経験変形角が1/33rad.に達しても残留変形角rReを許容範囲の1/400rad.以内に抑制できる。
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