研究概要 |
建物の自重を支持する弾性主架構(柔部分)と地震入力エネルギーを吸収する弾塑性要素(剛部分)から構成される耐震構造(損傷制御構造あるいは柔剛混合構造)においては,弾性架構の存在により,地震入力エネルギーが弾塑性要素で効率よく吸収される,さらに,地震終了時の残留変形が抑制されるという特徴がある。損傷制御構造には幾つかの手法があるが,強震時の応答を制御対象としたものでは鋼材を始めとする履歴系の材料のダンパーを用いることが多い。鋼材を用いた履歴型ダンパーは,低コストな上,性能が安定しており信頼性が高く,その利点は多いが,その一方で繰返し荷重による破断により,そのエネルギー吸収能力が限界付けられる。 本研究では破断で限界付けられる曲げタイプの鋼材試験体に対し実験を行い,一定振幅載荷と漸増振幅載荷の結果をランダム振幅載荷の結果と比較することにより,終局状態でのエネルギー吸収能力を定量的に評価する方法を検証する。 平成23年度は,前年度末に作成した鋼棒曲げダンパー試験体の繰返し載荷実験に対し,さらに異なる種類の地震入力について繰返し載荷実験を行い,エネルギー吸収能力を定量的に評価する資料を得た。
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