プレストレスト鉄筋コンクリート(PRC)及び鉄筋コンクリート(RC)構造における設計のキーポイントはひび割れ制御設計である。日本建築学会および土木学会においても、指針・示方書が提示されているが、実大に近い中型・大型試験体に対する適用性には未だ疑義が残る状況である。 本研究は中・大型のRC梁の曲げ試験を行い、ひび割れ制御設計に不可欠な曲げひび割れ間隔・幅に及ぼす引張鉄筋比および鉄筋付着の影響、ならびに応力ジャンピング現象について調べ、以下のうな成果を得た。 1. 引張鉄筋量の30%程度、あるいはp_<tD>=0.24%程度以上の異形鉄筋を用いれば、アンボンド部材のひび割れ性状および拘束コンクリートひずみ(ε_<cm>)は、ボンド試験体のそれとほぼ同様になっていくことを実験的にはじめて明らかにした。 2. ひび割れ発生時に起こる応力ジャンピング現象は引張鉄筋比P_tと密接な関係があり、その発生限界p_tは3%程度であることを実験的・理論的に示した。 3. 昨年度提案した、at/(D-Xn)(b;at:引張鉄筋断面積、D:梁せい、b:梁幅)を変数とするε_<cm>推定式は、異形鉄筋によるボンド試験体の実験結果を概ね推定できることを示した。 4. 本研究で誘導した算定式による最大ひび割れ幅計算値(_cW_<max>)は、実験値(_eW_<max>)を危険率17.7%で推定できることを明らかにした。
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