研究概要 |
(1)回帰モデル作成のためのデータベースの作成と非線形回帰分析の実施 先ず,K-NET, KiK-NETの強震観測記録より,地動加速度のパワースペクトル密度関数を,ランダム入力地震動モデル(擬似加速度型パワースペクトル密度関数モデル)として規定する,4つのパラーメータ,加速度パワー,卓越振動数,形状係数,有効継続時間を抽出し,各記録の地震属性および観測点属性と共にデータベースを構築した。そして,震源距離,震源深さ,マグニチュード,表層地盤の平均S波速度を説明変数,前記,ランダム入力地震動モデルを規定する4パラメータのそれぞれを目的変数とする回帰式を,最尤法により作成した。ここで,回帰式の関数形を「遺伝子」,対応する赤池情報量規準(AIC)を「適合度」とする遺伝的アルゴリズムを用い,回帰式として最適な関数形の探索を行った結果,何れの目的変数に対しても,予備的検討による回帰式の関数形を固定した回帰分析よりも,精度の高い回帰式を得ることができた。 (2)木造建物群の構造特性に関する検討 材料特性や構法に強く依存し,構造特性に大きなばらつきを有する木造建物群の合理的な解析モデルを構築するため,特にその水平構面の剛性発現のメカニズムに注目し,過去の加力実験の分析的検討を行った。また,仕口や壁の鉛直構面に加え,水平構面の剛性や,柱脚の固定度(土台仕様,足固め仕様)を考慮した木造建物の動的解析モデルのプロトタイプを作成し,振動実験の動的シミュレーションを通して,その有効性を確認した。
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