研究概要 |
(1)入力地震動モデルの作成と有効性の検証 入力地震動モデルの汎用性を考慮し,新たに,パワースペクトル密度関数の特性値として「全パワー」,「卓越振動数」,「帯域幅」規定する0次,1次,2次モーメントに関する距離減衰式を作成した。得られた距離減衰式に基づくパワースペクトル密度関数を速度応答スペクトルに変換し,既往の速度応答スペクトルに関する距離減衰式と比較することにより,提案式の有効性を確認した。既往のスペクトルに関する距離減衰式は回帰係数が周期の関数として与えられるのに対して,提案する距離減衰式は,周期依存性を規定する少数のパラメータを目的変数としており,解析的取り扱いが容易で,応用性に富むモデルである。 (2)統計的応答解析のための木造建物群の解析モデルの作成 伝統構法の木造建物を対象に,その振動特性に強い影響を与えると考えられる水平構面の線形/非線形耐力要素の構成,水平構面の剛性,および柱脚の固定度を考慮し得る,汎用性の高い解析モデルを提案し,その有効性を実大震動実験のシミュレーションを通して検証した。 (3)ランダム入力地震動モデルの応用 (a)提案するパワースペクトル密度関数モデルで表現される入力地震動に対して,ランダム応答解析に基づいて評価される「統計的等価減衰定数」を最大化するようなダンパーの構成を見出す方法を開発し,その有効性を,決定論的手法によるシミュレーションと比較することにより検証した。 (b)地震時の室内家具の移動・転倒による被害発生と回避・避難行動のシミュレーションへの応用を念頭に,動的応答解析と連動したマルチエージェントモデルを開発した。
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