研究概要 |
平成21年度は,薄肉鋼管で横補強した鋼コンクリート合成柱材と鉄骨梁で構成された骨組に耐震要素を組合せた骨組の弾塑性挙動を調べるために,耐震要素として鉄骨ブレースを組み込んだ1層1スパンラーメン骨組に一定圧縮軸力と繰返水平力を載荷する実験を行った。試験体の柱断面の外形寸法は200×200mmで,十字鉄骨を内蔵させた鋼コンクリート合成断面で2.3mm厚の薄肉鋼管で横補強している。梁断面は200×80×4.5×6の溶接H形鋼としている。骨組の高さは1.25mで梁スパンは2.2mである。試験体は2体であり,実験変数はブレースの有無とした。ブレースは70×70×4.5×4.5の溶接H形鋼を用い,細長比を87としている。載荷実験の結果,以下のことが明らかとなった。 1)ブレースの有無に拘わらず両骨組は計算耐力を早期に発揮するとともに,大きなエネルギーを吸収できる紡錘形の履歴性状を示した。 2)ブレースを組込んだ骨組は層間変形角1/100rad.で最大耐力を発揮したが,大変形でブレースが座屈しても骨組の耐力低下は少ない。最終的に4/100rad.の変形でブレースが破断することにより水平抵抗力が急激に低下するが,そこまでの変形で吸収したエネルギーは大きい。 3)柱は大変形域に達しても,断面の全塑性モーメントは発揮しているものと考えられるが,目立った損傷はあまり見られず,優れた耐震性能を示した。 これらの結果より,耐震性能が優れたSRC断面に比べ省力化の目的で主筋と横補強筋を省略しても,薄肉鋼管で横補強することにより,本合成柱材はSRC柱材と同等以上の耐震性能を保有していることがわかった。本試験体に用いた程度の細長比を持つブレースを骨組に組込むことにより優れた耐震性能を持つ骨組とすることが可能である。
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