研究課題
本研究の目的は、コンクリート構造体内部で生じる発熱、熱伝導および水分拡散の影響を取り込んだ構造体コンクリートの強度推定システムを開発することである。コンクリートの発熱にはセメントの水和反応が大きく関与し、またコンクリート中の水分拡散にはセメントの水和反応による水分消費が複雑に関与している。そこで、本研究ではセメントの水和反応モデルを出発点としたコンクリート構造体の発熱モデル、熱伝導モデルおよび水分拡散モデルをそれぞれ構築し、それらを互いに関連付けることで広範な強度推定システムの開発を目指した。平成23年度は、以下の研究を実施した。(1)高強度コンクリートの温度上昇特性を把握するための実験高強度コンクリートの温度上昇特性を把握するため、高強度コンクリート試験体の所定位置にT型熱電対を埋め込み、温度の経時変化を調べた。(2)コンクリート試験体のコア強度試験および微細構造分析昨年度に作製したコンクリート試験体からコア供試体を採取し、長期材齢での水分量および圧縮強度を測定した。また、コンクリート中のセメント硬化体部分を電子顕微鏡で観察し、微細構造について調査した。(3)構造体コンクリートの強度推定システムの構築および適合性検証昨年度に試作した構造体コンクリートの強度推定システムのプロトタイプをプログラムとして完成させた。また、実測したコンクリート試験体のコア強度データ等を用いてシステムの適合性を検証した。
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コンクリート工学年次論文集
巻: Vol.33,No.l ページ: 317-322