研究概要 |
今年度は,調湿建材を用いたチャンバー実験(基礎実験)を行い,諸条件における調湿建材でのかびの生育状況を定量するとともに,かびの生育過程で放出される揮発性有機化合物質(MVOC)の発生特性について検討を行った。また,吸放湿材を施した地熱利用地下ピット(空調ダクト兼用)内のかび汚染の実態及びそれによる室内環境への影響についても検討を行った。本年度の研究で得られた主な結果は以下の通りである。 (1)恒温恒湿チャンバー内において湿度95%で養生された木材においてC. cladosporioides, P. pinophilum, A. nigerの増殖が認められた。 (2)実環境での調湿材の表面においてAcremonium sp.の増殖が確認されたことから,好湿性かびの生育にとって好環境になっていることが明らかになった。 (3)実環境で,調湿材の表面において増殖したAcremonium sp.が,給気と室内空気中から高濃度で検出されたことから,ピット内の調湿材で増殖したかびが室内に侵入したことが明らかになった。 上記の研究成果を踏まえて,次年度は下記の実験を実施し,3年間の成果を報告書にまとめる。 ・調湿材の調湿性能性能別のかび増殖への影響に関する実験 ・調湿材でのかび生育状態とMVOCsの関係を把握するための実験
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