研究概要 |
アジア地域の中核都市を対象にした都市エネルギーフローのシステム・ダイナミクス法(SD法)による動的システムモデルを開発することを主要な目的として,平成22年度は主にマレーシア・ジョホールバルにおける民生,商業,工業,輸送部門別エネルギー消費量の空間分布を算出するために,産業連関表等の経済統計データまたは積み上げ法により建物種別エネルギー消費原単位を算出・整備およびマレーシアにおける現地調査を含めた作業によりデータを精査・分析した。次に,都市インフラや都市を構成する代表的な類型化された建物のLCI(LCEおよびLCCO2)分析を行い,これまでの研究で算出した各種建物のエネルギー消費原単位の比較・検証行った。さらに,マレーシア・ジョホールバル市およびインドネシア・パダン市を対象にコーホート要因法に基づく世帯推計モデル,地域計量経済モデル,交通ネットワークモデル等のサブモデルを整理し,それらを統合した都市エネルギーフローシステムのSDモデルプロトタイプを構築した。また,様々な都市活動・発展のシナリオを基にしたアジア型中核都市におけるエネルギー消費量の将来予測,ならびにアジア型都市における持続可能な都市エネルギー需給システムを提案するために,東南アジアの建築における省エネルギーに有効と考えられる環境要素技術として,空気式床冷暖房システムや熱交換型エアフローウィンドウなどの種々の環境デザイン手法や省エネルギー手法などの要素技術に対する環境負荷低減効果を分析した。
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