設計者や環境管理者が平易に明視性を診断することのできるツールを提供することを目的として、「実効輝度理論を適用し、視野輝度分布とその時間的変化・光源の分光特性・観察者の年齢や視力に配慮した<明視性評価システム>の提案」を目的としている。影響要因の関係と重要度を、我々を取り巻く視野の実態に基づいて整理し、これまでに得てきた知見の活用と未検討要因に関する実験を行い、要因間の関係を関数化・標準化し、条件入力から評価出力までの流れを具体的に提案する。 本年度は21年度(年齢、視力)、22年度(光源の分光特性)の影響に関する結果をもとに、更に分析をすすめ、実効輝度関数への個人差(主に視力差)、年齢差、方位性(視野輝度分布)、光源種類(分光特性)の組み込み方を検討した。年齢と方位性の交互作用に関して、有用な知見を導いている。さらに、輝度分布の影響に関しては不快グレアと類似した傾向があるという新規知見を得た。時間的変動に関しては、研究代表者の過去の代表的成果である動的順応輝度関数を組み込むことで対応し、さらに変動の視的快適性について検討し、この点も配慮することとした。 研究目標通り、視野輝度分布からスタートして、必要条件を入力することで、明視レベルを算出する一連の流れを具体的に提案することが出来た。 次の段階の展開研究として、既存のデジタルカメラを利用した輝度分布計測システムに、「明視性の評価関数」を組み込み、対象視野をカメラ撮影することによって明視レベルを算出することのできる明視レベル計測システムの開発があるので、引き続きこの点について研究を進めていきたい。
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