研究課題/領域番号 |
21560613
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
古賀 靖子 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (60225399)
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研究分担者 |
高雄 元晴 東海大学, 情報理工学部, 准教授 (90408013)
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キーワード | 建築環境・設備 / 生理学 / 概日リズム / 視覚 / 網膜神経節細胞 / ipRGC / 分光感度 / 瞳孔反射 |
研究概要 |
単色光刺激を用いた瞳孔反射測定から、概日リズムの光同調の分光感度は、ipRGCの分光感度と錐体の分光感度の合成になることが示唆された。すなわち、460nm付近にピークを有するメラトニン分泌抑制の作用スペクトルと異なり、およそ480nm~500nmに大きなピークと、440nm~460nmに小さなピークを有する二峰性の分光感度曲線になると考える。波長の異なる単色光を混合した光刺激を用いた瞳孔反射測定から、可視放射域の一部の波長について、分光感度の加法性は成り立つ可能性を得た。 覚醒水準の調節に関わる脳幹部神経核の青斑核および背側縫線核の視覚性ニューロンの分光応答特性を、マウスを用いて明らかにした。青斑核では、360nmおよび500nm付近の光刺激により、ニューロンの活動抑制が観察された。背側縫線核では、同波長の光刺激により、ニューロン活動の興奮が認められた。これらの結果から、覚醒水準の調節に関わる神経核では、光感受性網膜神経節細胞(ipRGC)からのシナプス入力に加えて、錐体視細胞からの間接的なシナプス入力が存在することが示唆された。覚醒水準に関する作用スペクトルも、二峰性となる可能性が高く、瞳孔反射測定と同様の結果を得た。 光量や光色の異なる光環境下で作業課題を与え、作業者の生理的心理的指標により光環境性能を評価した。青色光成分の多い光環境は、必ずしも作業者にとって好ましいものではなく、既往研究が示すような生産性や集中力の向上効果よりも、逆にまぶしさ感や作業後の視覚疲労をもたらす場合があると言える。概日リズムの光同調や覚醒には短波長光が効果的であるが、一般照明で活用するには、短波長光の用い方に工夫が必要である。
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