研究概要 |
本年度では,分散型エネルギー技術の多様化により,地域・建築のエネルギーシステムの選択が益々難しくなることから,その導入支援手法を提案した。さらに北九州学術研究都市の地域エネルギーシステムを対象とし,手法の検証を図った。以下の結果を得られた。 経済性の視点から,分散型エネルギー技術に関わるシステムの目標関数を構築し,線形計画問題として確定し,シンプレックス法アルゴリズムを用いて,分散型エネルギー技術の導入選択支援手法を提案した。 提案した手法を用いて,5つのケースに分け,DER技術の選択を行った。ケーススタディでは,従来型に比較すると,分散型エネルギー技術を導入することにより,ランニングエネルギーコストの削減率はほぼ55%となっていることがわかったが,分散型エネルギー技術の初期投資コストが依然として高いため,現段階ではもっとも現実的な技術はガスエンジン・タービン等のような成熟的な技術であり,太陽電池,燃料電池等はさらにコストダウンが求められている。分散型エネルギー技術を利用した場合,その有効性は排熱利用によるものだと言われている。ケーススタディでも,分散型エネルギー技術を採用する場合,冷暖房・給湯等の温熱エネルギー需要の約80%は分散型エネルギーシステムから供給することができたことからその有効性を立証できた。初期コストを抑えることができれば,分散型エネルギー技術の普及が可能だろう。 さらに、本年度では、DERの最適導入ツールE-GAMSの再構築を行い、日本におけるエネルギー需要に合った技術の選択と導入の最適化を行った。ケーススタディとして省エネルギーが困難といわれる「病院」を対象とし、気候風土を考慮した堆域別エネルギー負荷など諸要素に基づいたコスト最適化の分散型電源の選択を行い、その導入容量、経済性、省エネルギー性と環境性について考察を行う。
|