廃食用油の投入により屎尿分離型トイレの高温発酵を促す使用実験行なったところ、1)~3)の設計・運用上の問題点を把握し、バイオトイレを含む屎尿処理システムに対する濃エクセルギーを用いた評価により4)~5)のことが明らかになった。また、既存単独浄化槽使用による未処理雑排水が谷戸水に垂れ流しになっている茅ヶ崎市の清水谷戸で傾斜土槽による雑排水の浄化処理を行なったところ6)7)のことが把握できた。 1) 家庭を模した使用状況で廃食用油を連続して1L/day投入する場合も、間欠的に7L/day投入する場合のいずれも、内容物温度45℃以上の継続時間がD社・M社のトイレともに100h以上になることが確認できた。 2) 衛生処理に必要な内容物温度45℃以上が120h以上継続を確保するために、例えば45℃以下の場合に限りヒーターを使用すれば電力使用量は大きくはならない。 3) 油の投入は内容物の粘性を高め撹拌を難しくするため、この点を回避した高発熱添加材の改善が必要である。 4)屎尿処理用一次投入エクセルギーに対する屎尿の濃エクセルギー保存量の割合は、バイオトイレ(ヒーターなし)が0.045~0.1で、下水処理場などの処理システムより割合が桁違いに大きい。 5) 屎尿処理用一次投入エクセルギーに対する屎尿の濃エクセルギー保存量の割合は、環境水の水質が下流域相当から上流域相当に向上すると、最大1.2倍になる。 6) 傾斜土槽は、性能の立ち上がり期間、設置後2ヶ月を要する。立ち上がり後では、雑排水処理におけるBOD除去率が75%に達し、合併浄化槽に要求されている除去率を十分に満たすようになった。 7) 放流先である水路のCODは設置前13~16mg/Lだったのが、設置後2ヶ月では4mg/Lにまで低下した。
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