研究課題/領域番号 |
21560619
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
高橋 達 東海大学, 工学部, 准教授 (50341475)
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キーワード | バイオトイレ / 高温発酵 / 屎尿処理 / 高発熱添加材 / 堆肥化 |
研究概要 |
エコトイレに関する性能評価の一環として、国産の屎尿分離型バイオトイレ2機種(大央電設工業(株)バイオR21-MDBR-MKYML型と(株)ミカサBM25型バイオミカレット)について、連続使用・生ごみバッチ処理を条件とした堆肥化実験を行なった。家庭利用の場合に投入する有機物は糞便のみだと高温分解に必要な発熱量を確保できないことを過年度の研究で確認していることから、高発熱添加材の種類と投入限界に関する実験が実施内容である。また、より低コストのエコトイレを創出するために屎尿分離型バイオトイレの自作とその性能把握を試みた。これらの検討を行なった結果、以下のことが明らかになった。 1)単位質量あたりの発熱量が高く、かつ、安価な高発熱添加材として米ヌカ油、天ぷらカス、廃食用油の三つについて7日間で内容物温度40℃上昇に要する投入量で発酵槽に添加した結果、米ヌカ油が高温継続時間と粘性抑制に最も優れていた。 2)家庭を想定してバイオトイレを連続使用し、内容物温度の40℃上昇に要する発熱量の1.5倍や2倍で米ヌカ油を投入した場合、いずれの場合も、内容物が油による粘着性が発生しため攪拌棒の回転シャフト付近で固まり、手動では攪拌できなくなった。このことから、粘着性の生じない他の高発熱添加材の選定が必要である。 3)介護用のポータブルトイレ、バーベキューネット、ポリタンク、アングル材を用いた日曜大工レベルでの自作方法であれば、生ごみの連続好気分解は十分可能である。 4)自作トイレを用いた実験では、ポリタンクに貯蔵された尿からの臭気、糞便のみによる発熱量不足が問題であり、尿は単なる分離貯留ではなく、脱臭を兼ねて土壌改良材の固形物質に吸着させるなどの対策が必要と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
屎尿分離型バイオトイレでは、家庭利用の場合に糞便だけでは内容物の高温分解に必要な温度上昇は得られないことが明らかになった。ヒーターを用いないパッシブ加熱の方法として、高発熱添加材の投入に関する仕様・運用方法が概ね把握できたので、エコトイレの中核をなす屎尿分離型バイオトイレにおいて、最も環境負荷が大きい加熱方法に関する性能を把握できたことを意味する。
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今後の研究の推進方策 |
屎尿会離型バイオトイレの性能把握については、廃食用油以外の高発熱添加材の活用方法を解明し、既存バイオトイレのパッシブ加熱に関する運用方法の明らかにする予定である。 水洗トイレでは問題にならないために、バイオトイレ普及の障壁となる臭気発生・使いにくさを屎尿分離型バイオトイレでも解消するために、箇水型水洗便器と屎尿分離型堆肥化槽を複合したハイブリッド型コンポストトイレの開発に関する基礎的検討を行う、水洗便器による利便姓・快適性と、屎尿分離型堆肥化槽による糞便の乾式高温分解(発酵)とを複合方法を実験により定量的に把握し、普及型エコトイレのプロットタイブを見出す。
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