住宅での利用を想定して,屎尿分離型や水分排除機能付きの国産コンポストトイレの衛生的処理能力,パッシブ加熱の可否について,連続使用実験や数値シミュレーショを行なうことにより以下のことが明らかになった。 1) 屋外仮設用の屎尿分離型コンポストトイレ2基を6人でメーカー初期設定条件で使用した場合,電熱ヒーターの常時稼動によりA社トイレで200~250W,B社トイレで150~200Wの電力が使用されていた。それにも関わらず,両トイレともに高温発酵が促進されず,内容物平均温度の上昇が28 ~ 39℃に留まった。 2) A社トイレでは,1)で述べたように高温発酵が促進されず水分蒸発が促進されず,かつ,セパレート便器での屎尿分離が実施されない場合に,内容物の質量含水率が70%以上,ORPが-28~-23mVになり,内容物の嫌気的状態になることが確認された。 3) メーカー初期設定条件で,延べ人数がA社トイレで376 人,B社トイレで109人で使用したところ,臭いが気にならない,もう一度トイレを使用したいという回答の割合が両トイレともにほぼ100%であり,コンポストトイレに対する受容の度合は低くなかった。 4) 一次発酵期間7日間で内容物温度の40℃上昇と質量含水率の65%から50%への減少に要する投入量の3倍で廃食用油を投入するとともに, 糞便を4 回/day, 尿を20回/day 投入した連続使用実験では, 電熱ヒーター・ファン・ブロアーを全停止状態で内容物平均温度45℃以上の継続時間が100h以上になった。A社トイレに廃食用油を7L/week 投入する場合のみ高温による病原生物の無害化の条件である45℃以上の継続時間が120h以上を満たせなかった。
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