本研究は、住宅の専有部の水まわりのフリープラン化を可能にするための排水配管システムの開発と性能検証、並びにその設計方法を立案することを主な目的とした。前記の目的の検討を行うために、重力式と機械式の両システムを単独または併用による排水システム(ハイブリット排水システム)を提案した。本年度は、先ず重力式排水方式での検証を主に実施した。 第一に、主に集合住宅では専有部の床ふところ空間が小さいため、排水横枝管長が長い場合には、十分なこう配が確保できず、洗浄水量が6.0~5.0L程度の超節水型大便器が設置された際には、搬送性能の低下が危惧される。その点について、実験的に設計限界となる配管条件等を把握することができた。 第二に、その超節水型大便器を高層の排水立て管システムに設置した場合に、システムの排水能力に及ぼす影響について、管内圧力変動を指標に今年度購入した専用の圧力センサアンプを使用しながら確認した。その結果、同大便器は、瞬時的に大きな排水負荷を発生する機器であるが排水能力への影響は小さいものと確認できた。 第三に、次年度に計画している機械式排水システムの予備実験として、既に本学にある小型の圧力ポンプを有する圧送排水方式の排水システムを用いて、そのポンプの特性と運転時に排水枝管内への破砕されたトイレットペーパーや排水の停滞状況の確認などを行い、課題点や改善点を指摘した。
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