研究概要 |
本研究は、建物の水まわりのフリープラン化を可能にするための排水配管システムの開発と性能検証、並びにその設計方法を立案することを主な目的とした。前記の目的の検討を行うために、重力式と機械式の両システムを単独または併用による住宅用の排水システム(ハイブリット排水システム)を提案した。本年度は、以下の点を明らかにした。 (1)主に集合住宅の専有部の排水横枝管において、設置された場合に搬送性能の低下が懸念される超節水型大便器(洗浄水量6~4.8L以下)に注目し、重力式排水方式に用いた場合に搬送可能な配管条件(長さ,曲り数など)を昨年度に実施の実験結果をも加味し検討し、設計限界を把握した。 (2)(1)で求めた搬送可能な配管条件を超える場合に、小型の圧力ポンプユニットを超節水型大便器に設置した圧送排水方式を幾つかの配管パターンで併用した際に、重力式排水方式との合流によって手洗い器等のトラップ封水の破封や汚物搬送性能低下に及ぼす影響を確認し、両方式の接続条件を明確にした。また、排水立て管の管径設計に用いる器具平均排水流値とその変化値を求め、当該排水システムを排水立て管システムに設置した際の適用高さについても検討した。 (3)ハイブリッド排水システムを高層排水立て管システムに設置し、実際に器具排水負荷を与えた場合とSHASE-S218排水能力試験法による定流量負荷(標準負荷)との相関をトラップの封水損失等を指標に求め、SHASE-S218での結果に換算した場合の等価定流量値を求めた。 以上より、当該排水システムの計画設計を行うためのマニュアル作成に資する知見が得られた。
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