研究概要 |
本研究は、建物の水まわりのフリープラン化を可能にするための排水配管システムの開発と性能検証、並びにその設計方法を立案することを主な目的とした。最終年度は、節水型大便器が普及する中、重力式排水システムの排水限界を把握するとともに、住宅用排水システムよりさらに用途を拡張させ、業務用建物の連結トイレの排水システムの適応範囲に自由度を持たせるために、複数の圧送排水ユニットを設置した機械式排水システムの性能評価と設計に資するデータを収集した。また、過去3年間の研究のまとめと今後の課題を整理した。最終年度は、以下の点を明らかにした。 (1)昨年度までに比べ洗浄水量が4.0Lとさらに水量削減を行った超節水型大便器について、重力式排水方式に用いた場合に搬送可能な配管条件(長さ,曲り数など)を決定し、昨年度に実施の実験結果をも加味し検討し、設計限界を把握した。 (2)業務用の連立トイレユニットに小型の圧力ポンプユニットを設置した圧送排水方式のトイレ排水システムを提案し、複数の排水が排水管に流入する際の継手部、圧送ポンプユニットに接続する通気管、トラップ封水への影響などを実験的に検証した。同時にその排水が排水立て管へ流入する際の器具排水特性値を把握し、既存排水システムへの適用の可能性も検討した。 (3)最後に本研究のまとめとして、住宅用途と業務用用途における重力式排水での適用の範囲を示し、それに圧送排水システム等が増設された場合の性能評価の方法と配管設計上の留意点を整理し設計マニュアル作成に向けての根拠データとした。 (4)今後の課題点として、住宅用途では実施したが、業務用用途に重力式と機械式排水(圧送式・真空式)を併用した場合の排水立て管システムへの影響について検討を行う必要があることを指摘した。
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