研究概要 |
本年度は、昨年度で扱った2棟の建物から成るストリートキャニオンモデルに代わって、12棟の建物群から成るBuilding arraysモデルを対象に,スプリットファイバープローブ,PIVシステム,高速応答性炭化水素計を用いて,風洞実験を行い、風速,乱流統計量,平均濃度,濃度フラックス等の測定結果を得た。その結果、Building arrays郡内で形成されるストリートキャニオン内においても,(1)ストリートキャニオン内で排出された汚染濃度は、建物からの吹きおろしによって移流されるため、上下方向に大きな濃度の分布が生じること、(2)キャニオン上を吹く大気境界層流との非定常な空気の交換が,内部の汚染質の拡散に重要な役割をしていること、などが確認できた。 一方,乱流モデリング手法開発のための基礎的な検討として,立方体モデルや単純なストリートキャニオンモデルを対象としたLES及び改良k-εモデルによる解析を行い,その精度を実験結果との比較により検証した。また解析解のメッシュ分割への依存性について検討し、排出口付近のメッシュ分割の精度が解析結果に大きな影響を及ぼし、ストリートキャニオン内部において十分に細かいメッシュ分割が必要であることを示した。さらにLESによって得られた結果をデータベースとして、乱流拡散フラックスや乱流シュミット数などの評価を行い、従来のRANSモデルでは乱流拡散が過小に評価される問題点を明らかにするとともに,新たなモデル開発のための重要な知見を得た。
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