本研究は、地方都市において「街なか居住」施策の推進と同時に進行しつつある郊外住宅地の空洞化に対応する政策として、地域マネジメントの視点から、住み替えシステム構築の可能性を探るとともに、単なる居住者数の復活ではなく地域の存在意義を持続させるための活動の必要性を、米国のメインストリート・プログラムの実態調査により解明するものである。平成21年度は、米国における中心市街地を対象とした地域マネジメントのプログラムの発想および組織体制づくりを、我が国における地方都市の郊外住宅地の持続可能性を検討する場面に活かすための具体的な検討を目的として、米国のNational Main Street Centerに対するヒアリング調査を実施するとともに、ワシントン市内の実際のモデル地区に対する実地調査を実施し、住民自らが地域をマネジメントしていくための方策とその実践事例について資料を収集した。また郊外住宅地への適用の可能性について大きな示唆を得ることができた。一方で、我が国におけるモデル適用事例として街なか<通り>再生事業実施の先進事例である小田原市に対する実地調査を実施して、我が国への適用の可能性を検討した。また盛岡市松園ニュータウンに存在するマネジメント組織(ライフサポート松園)へのヒアリング調査を実施し、現実的にコミュニティ存続のためのマネジメントのニーズが存在し、またそれを、コミュニティビジネスとして実践していく大きな可能性があることを明らかにすることができた。また同様にマネジメント組織の構築を検討する北方建築総合研究所(旭川市)の研究者との討論を実施し、北海道における新たな住み替え促進施策の動向を明らかにし、次年度の調査対象選定に関する重要な知見を得た。
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