写真測量は、仮設機材や仮置資材などで雑然とした建築現場においても手軽に実施できる測量手段である。トータルステーションなどの大型機材では取り回しが困難で実施が難しい局面においても実行可能であり、他の測量手法と比較して可搬性の面で特に優れている。平成23年度においては、過去2年間に実施した施工現場実験のレビューと研究全体のとりまとめを実施した。ほぼ研究計画どおりの成果を得ることができた。 なお、とりまとめに際して、以下の2点について追加の検証をおこなった。 (1)写真測量精度の検証の追試 (2)出来形評価のための工事写真からの三次元モデル復元に関する検討 (1)については、カメラの較正を再度慎重に行い、また、撮影枚数を増して統計的信頼性を高めるよう努めた。施工現場で用いる際に必要十分な測量精度が得られることを確認した。 (2)については、近年、3Dスキャナによる施工現場の三次元モデル復元を出来形の評価に利用する研究が盛んにおこなわれているため、これらとの対比とするため、工事写真から施工現場の3D復元が可能かどうかの検証をおこなった。撮影条件にもよるが、写真測量の精度とあいまって、実用的な3D復元が可能であることを確認した。
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