本研究は、(1)居住、就業、消費、移動からみた都市構造、(2)土地利用規制と土地利用の実態とそこから想定される将来の開発ニーズ、(3)開発ニーズを踏まえたCO2排出量の推計と目標値達成に向けた削減の方法を実現させるための新技術・次世代技術導入を想定した計画制度、(4)これら手法の評価方法について研究を進めるものである。実際のデータと将来シナリオから、実現すべき都市構造と土地利用の方向性を予測し、それらを政策・計画にフィードバック、実現のための計画制度を立案する。 昨年度は、まず(1)「低炭素型都市づくりの評価方法」について分析を行い、都市計画制度を通じた低炭素型都市プロジェクトをいかなる方法で評価することが望ましいか明らかにした。ロンドン市における評価方法が、開発事業ベースにその効果分析を行っていた。我が国では、個別の都市型開発のもたらすCO_2排出量削減の成果から新規開発での原単位を算出、それを地域ごとに提示することで地域別のCO_2排出量削減の状況を説明、これを次の都市計画につなげていくことのできることが明らかとなった。 さらに、(2)「日本における低炭素型都市計画制度の立案と評価方法」において、2年間行ってきた研究全体を受けて、今後の日本の大都市における低炭素型都市づくり実現のために、整備すべき都市計画制度として、行政内部での低炭素型都市づくりのプライオリティ化がまずは大事で、そのための庁内連携体制の構築づくりが必須であることが明らかとなった。その上で、地域の持つアセット(導管接続)等を行っていくこと、その効果を行政ベースのCO_2排出量削減目標とリンクさせることの重要性を指摘した。
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