研究課題
本研究は、3年の期間において、「創造都市」(Creative City:都市が本来有している文化や産業やライフスタイルをデザインする力=創造性を発展させることで持続的な将来を切り開くとする考え方)に焦点を当て、過度の都市間競争を回避しながら、内発的な小規模の産業を発掘・育成し、地域の力を強めていく創造都市論を再構築することを目的とする。そのため、平成21年度は、既存の創造都市論の系譜と内容を把握し、その特徴と問題点を抽出、わが国と諸外国の創造都市実現へ向けた取り組みの現況を文献・各種統計データの分析を通じて把握することに力点を置いた。この結果は査読論文として国際雑誌に公表されている。また、海外研究協力者も順次招聘、意見交換及び日本国内各都市(小樽市、八尾市、北九州市ほか)への視察・行政担当者へのヒアリング等を通じ、さらに議論を深めた。平成22年度には、前年度の結果を踏まえ、欧州関係各都市へのフィールド・スタディを行った。具体的には、ドルトムント大学クンツマン教授の協力を得て、ドイツ(ベルリン、ルール地方の各都市)の現地調査及び行政担当へのヒアリング調査、パリ大学グレフ教授の協力を得てフランス(ナント、リール)の現地調査、イタリアではトリノ大学サンタガタ教授の協力によりトリノの状況をヒアリングした。日本とヨーロッパには社会的、経済的状況の相違もあるものの、グローバル化の中で高齢化、産業の空洞化、地方分権など共通する課題も多く見られ、特に国際競争力の再構築のための人材育成とともに多様な中小企業の振興方策が強く求められてきている。これらの調査結果を基に、現在、いくつかの共通項目を抽出し、各国ケースの整理を行っている。平成23年度は本研究の最終年度であり、本年度に整理した項目に沿って、それぞれの国の概要と各都市のケースを総括、内外の分担研究者の参加による専門家会議を開催し、最終的な成果を速やかに公表する予定である。
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Research on Education and Media
巻: Vol2, no2 ページ: 121-142
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