初年度は、まちづくりワークショップ等での討論作業のモデル化、グループ討論による発想技法の導入と討論作業への影響とについて、討論支援システム環境の開発に向けた観察実験に取り組んだ。 事前検討として、学生チームがテーマに従い、マインドマップ、カード式ブレインストーミング、ブレインライティング技法を使い分けた討論実験を多数実施し、アンケート調査と作業のビデオ記録から、グループ討論の進め方、発想およびファシリテーション技法の有効性についてデータ収集を行った。これらの考察から、短時間で多数のアイデアを抽出し、構造化するブレインライティングとマインドマップ等を用いたファシリテーショングラフィックがチームによるアイデアやまちづくり討論を効率化できる可能性を明らかにした。この仮説をもとにデザイン実践として、デザイン演習、アイデアコンペ応募、さらに地元の商工会と連携したまちづくりワークショップ等に取り組み、事例データの積み上げとノウハウの整備に取り組んだ。 討論支援と作業環境のデジタル化にも同時に取り組んでいる。グループ討論では、多人数でのトピックやイメージ共有にホワイトボードやプレゼンボードの利用が欠かせないし、ブレインライティング等の発想技法は手書きのカードや模造紙等の利用が多いため、アナログツールでの作業とデジタルメディアによる討論支援は十分に連携しているとは言いがたい。討論環境のデジタル化を進めることで、討論の作業記録をデータベース化し、さらにインターネットを介した多点間での仮想ワークショップ環境を構築できる。研究では、まず非専門家でも使いやすく、手書きや図解等のアナログメディアのもっ操作性を実現できる電子ホワイトボード、電子タブレット、電子ペン等を使ったデザイン討論実験と持ち運び可能なホワイトボードを組み合わせたデザインスタジオ環境の試作にも取り組んだ。
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