本年度は、地域団体(泉南市及び泉南市商工会)と連携した観光まちづくり事業と学生による討論演習を実践事例とし、グループ討論技法の導入とファシリテーション・グラフィックによる討論過程の見える化について、ノウハウの積み上げに取り組んだ。特に討論作業に不慣れな地域住民やデザイン企画の初心者(学生)が参加する発想型のワークショップでは、発話中心のブレインストーミングだけでなく、筆記や図解カードを使用するブレインライティングによる発散段階のサポート、さらに出された多くのアイデアカードをグラフィカルに関係づけ、構造化するファシリテーション・グラフィックによる収束段階のサポートの双方が必要になると考えた。本年度は、マインドマップやマンダラート等のマップ表示による討論技法に加えて、フィンランドメソッドとして知られるアヤトゥス・カルタ(フィンランド式マインドマップ)を導入した他、ワールドカフェ方式によるグループ討論の実証実験も行った。 また討論環境のデジタル化対応について、昨年度より試行を重ねていた電子ホワイトボードの活用について、背面投影方式による大画面スクリーンを自作し、これまでネックだった電子ペンによる手描き操作やカード群の並べ替え作業の効率化に取り組んだ。これまでのデザイン実証実験の観察記録からグループ討論作業の"見える化"を、カード群をノードとし、さらにその関連(つながり)をリンクで構成するネットワークモデルとして記述できる可能性が明らかとなった。次年度はデジタルペン、デジタルホワイトボード環境の完成により、ビジュアルなアイデアソートとリンク付けをデジタル環境で行うVisual Pinup Boardによるマップ討論支援システムの開発に取り組む。
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