研究課題/領域番号 |
21560638
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
平野 吉信 広島大学, 大学院・工学研究院, 教授 (40355904)
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研究分担者 |
古阪 秀三 京都大学, 工学研究科, 准教授 (60109030)
浦江 真人 東洋大学, 理工学部, 准教授 (10203598)
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キーワード | 建築生産 / プロジェクト / 調達方式 / 発注・契約 / 請負者による設計 / 設計の役割 |
研究概要 |
最終年度の究実施計画の最後に掲げた「(5)調達方式に応じて設計情報伝達や関係者間の設計に関する役割分担を的確に管理できる発注・契約図書のありかた」の明確化を目指し、1)我が国の戦後から今日に至るまでの、民間・公共の標準的工事仕様書の規定内容に見る、一定の「設計」を請負者側の発案に委ねるしくみの実態と、そのしくみに委ねられる設計内容の類型化を行った、2)英・米現地調査を含め、英・米における、請負者の設計を何らかの形で組み込んだ発注・契約方式の実態と、その場合に契約において提示される情報の内容を把握し、我が国の今日の実務内容との比較検討をすすめた、3)国内、英米とも、工事段階における設計内容の確定の進められ方と、特に工事費や工期等の工事請負契約条件の調整のされ方との関係についてインタビュー・文書による照会等調査を重ね、実務実態及びトラブルの原因となる要因の抽出等を行った。 以上の結果、まず、「設計」側から「工事請負」側へ、部分的な設計を含めた「引き継ぎ」が行われる場合の「情報」の在り方について整理した。英米では、例えば外壁部品の耐水性、耐風性等そうすることが適切な部位・部品に関する性能仕様書を除き、工学的・定量的(測定可能)な指標のみではなく、形状・仕上がり状態に関する「意図」、材料・仕上げ見本や施工の前例等の「参照資料」等を、必要に応じて組みあわせ、仕様書等に明記し、設計意図の伝達を行っている実態を把握した。また、これらの「設計内容」の確定にあたっては、当初の契約条件と少しでも異なる結論となる場合には、請負者側からのクレームが頻繁に出され、清算が行われている。一方我が国においては、これらの情報のやり取りやその結末に関する処理が主として「黙約」でなされ、費用の清算がされにくい実態が把握できた。 これらの成果を総括して、目標の発注・契約図書のありかたのプロトタイプを構築した。
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