本研究は、空間的相互作用モデルを用いた施設の最適配置モデルの枠組みにおいて、アクセシビリティの異なる施設の配置モデルを提案し、その最適化法を提案し、さらに最適配置の解析を行うことによりことである。2010年度の研究成果は、重力モデルおよびハフモデルを統合した新たな空間相互作用モデルに基づく施設利用モデル(統合モデル)を提案し、さらに、統合モデルを用いた最適配置モデルの提案をし、さらに、それを応用して競合するフランチャイズ店舗および独立店舗の最適配置および均衡配置などの立地分析を行った。これにより、施設数が少ない場合には独立店舗の方が有利であり、アクセシビリティの高い都心部に有利に立地できる傾向があるが、施設数が十分に多く、高い競合が生じる場合には、チェーン店舗の方が有利になり、その立地の自由度も高くなることが明らかになっている。さらに、駅などの交通結節点との位置関係によって生じる立ち寄り利用を考慮した利用行動モデルの提案を行っている。同じく空間相互作用モデルにもとづく立ち寄り利用をモデル化し、従来より言われてきた卵型の圏域が数理的にモデル化できることを示した。さらに、施設利用データに基づくモデル分析を行い、立ち寄り利用を考慮することにより従来モデルよりも高い的中率で記述することができることを示した。また、最適配置分析を行うことにより、駅などの交通結節点へのアクセシビリティを考慮すると、最適配置は、従来モデルとは異なる結果となることを示した。
|