研究の初年度として下記のような研究成果を得た。 1分譲集合住宅の大規模改修工事における工事契約方式や予備費の管理に関する検討 リスクを含んだ建築工事に関する文献を収集し、大規模改修工事のように工事開始後に現れる不確定要素によるリスクの大きい工事において選択される工事契約方式と予備費の設定やその管理方式についても整理検討した。 2大規模改修工事の工事履歴に関するマクロ実態調査(アンケート調査) 発注者(管理組合)からの資料収集が個人情報管理上難しいことから、今回は大規模改修工事施工業者団体であるマンション計画修繕施工協会の協力を得て、工事内容・工事請負契約の実態に関するアンケート調査を実施した。アンケート配布は130で、有効回収数は48であった。主な調査内容は、複数回にわたる大規模改修工事における工事契約として一式総価契約と実数精算契約を含んだ発注契約方式の実態、予備費の設定、設計変更・追加工事の有無、工事完成後の工事費の増減等の実態、および工事に伴う履歴情報の管理実態である。分析内容については2010年7月の日本建築学会建築生産シンポジウムでの発表を予定している。 3複数回にわたる大規模改修工事の長期修繕計画と工事履歴に関するミクロ実態調査(ヒアリング調査) 大規模改修工事専門の設計者・コンサルタントから複数回にわたる大規模改修工事を実施した事例の紹介を受け、それぞれの改修工事の内訳明細書および実数精算書に基づいてその工事内容の履歴、変化を明らかにするための資料収集を行った。次年度は一括総価契約に基づいた工事契約を行っている事例を収集し、比較検討する予定である。
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