研究の2年度目として下記のような研究成果を得た。 1 分譲集合住宅の大規模改修工事における工事契約方式や予備費の管理に関する検討 前年度に引き続いて、大規模改修工事のように工事開始後に現れる不確定要素によるリスクの大きい工事において選択される工事契約方式と予備費の設定やその管理方式について継続して整理検討した。 2 分譲集合住宅大規模修工事のコストの実態調査 前年度に引き続いて、大規模改修工事を実施している設計者・コンサルタントの団体に協力をいただき、典型的な集合住宅大規模改修工事について、作成された当初の内訳明細書と実数精算報告書を収集整理し、不確定要素を含んだ集合住宅大規模改修工事について、当初想定した工事項目と実際に実施された工事項目の違いから、想定数量の設定方法、工事請負契約方式のありよう、予算設定の段階における適切な予備費設定やその管理方法についても検討を加えた。分析内容については2011年7月の日本建築学会建築生産シンポジウムおよび8月の日本建築学会大会で発表を予定している。 3 団地型分譲集合住宅の大規模改修工事履歴における棟別格差 団地型分譲集合住宅では、修繕積立金を団地一括で管理していたものから棟別会計で管理しているものまであり、また、修繕積立金に額設定も団地一括基準の場合と棟別基準の基づいている場合がある。ここでは複数回を経た大規模修繕工事において棟別の個別ニーズによる改修工事のウェイトが大きくなるとの仮説に基づいて、大規模改修工事履歴の棟別格差の実態を整理した。 大規模改修工事を担当してきた実績のある改修工事専門のコンサルタント数社の協力を得て、そこに蓄積されている工事請負契約時の見積内訳書および工事完成後の実数精算報告書の分析を行った。
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