研究課題
研究の最終年度として下記のような研究成果を得た。1.分譲集合住宅の大規模改修工事における工事契約方式や予備費の管理に関する検討大規模改修工事のように工事開始後に現れる不確定要素によるリスクの大きい工事において選択される工事契約方式と予備費の設定やその管理方式について継続して整理検討した。2.分譲集合住宅大規模改修工事における実数精算契約に関する実態調査前年度までの分譲集合住宅の大規模改修工事を実施した施工者調査および設計者・コンサルタント調査の結果から、不確定要素を含んだ分譲集合住宅の大規模改修工事において実数精算契約が普及していることが明らかになった。設計者・コンサルタントおよび施工者といった専門家レベルでは、不確定要素を含んだ大規模改修工事では実数精算方式を採用することの妥当性が確認されてきていると判断できる。一方で、発注者である管理組合は工事契約方法における実数精算方式の妥当性にどのような評価を下しているのか、また、その経験・蓄積は管理組合組織としてどのように共有されているのかが重要である。本年度は、大規模改修工事において実数精算契約で工事実施した管理組合に焦点をあて、設計者・コンサルタント選定のいきさつ、工事請負契約方式の選定の経緯、予備費設定、実数精算結果について、設計者・コンサルタントからどのような説明をうけ、発注者の管理組合としてどのように理解し評価しているか、の実態調査を実施した。実際の大規模改修工事の工事契約等の意思決定に関わる大規模改修工事等修繕委員会の委員等では実数精算契約についてのこれまでの経験等を踏まえ、かなり深い理解がされていること、資料管理も適切に行われている実態が確認できた。このような意識の高い管理組合がどの程度存在しているか、などの継続調査が必要である。分析内容については2012年9月の日本建築学会大会で発表を予定している。
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第27回建築生産シンポジウム論文集,日本建築学会建築社会システム委員会
ページ: 257-264
日本建築学会大会論文梗概集F-1分冊
ページ: 1335-1336