本研究は、ロボットを壁面や天井面に三次元配置した際の居住者の心理・行動を評価し、ロボットと共存するための建築空間の計画要件を求めることを目的としている本年度は以下の4つの基礎的検討を行った。 1) ARによるロボットの提示位置:AR表示によって提示されるアバター型のロボットを想定し、提示種類や位置に対する対話距離や印象評価との関係を明らかにするための実験を3種類実施した。その結果、命令的な対話内容や床上への提示に対する対話距離の増大、あるいは、VDT作業時において好まれやすい表示位置が明らかになった。 2)ロボットの移動による作業集中の妨害度:机の上で作業をしている人間の前方の壁面をロボットが三次元移動するとき、その動く位置や速度が、作業に対する作業成績に与える影響を明らかにするための実験を実施した一その結果、特に作業の難易度が高い条件で、ロボットが作業画面付近の高さに出現したとき、瞬間的に著しく作業成績が低下する傾向が確認された。 3)居室内に三次元分布するロボットとの対話位置:ダイニング椅子および寝椅子に着座した状態で、三次元分布するロボットとの対話に適した位置を計測したその結果、視点前方の斜め上方に会話に適した位置が分布していることが明らかになった。 4)身体周りに三次元分布するロボットとの対話位置:「友人との会話」と「コンシェルジュ」の2場面において、立位と椅座位で会話しやすいロボットの位置を計測した.その結果、両者とも高さはやや下方で、「友人との会話」は正面、「コンシェルジュ」は斜め前方に会話に適した位置が分布していることが明らかになった。
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