本研究は、ロボットを壁面や天井面に三次元配置した際の居住者の心理・行動を評価し、ロボットと共存するための建築空間の計画要件を求めることが目的である。本年度は最終年度として以下を実施した。 1)ロボットと共生する生活シーンの提案 本研究から得られた知見の社会的価値の位置付けを整理するために、(1)ロボットの定義、(2)ロボットたちのセカイ、(3)日本人とロボット、(4)ロボットとの出会いと別れ、(5)ロボットと倫理、というテーマについて連携研究者との間でブレーンストーミングを行った。また、これまでの研究成果を、(1)ロボットと一緒に生活するシーンの違和感、(2)ロボットから受ける作業イメージ、(3)これ以上近づかれたくない距離、(4)移動するロボットの邪魔さ、(5)空中に浮かぶ物体と会話する、(6)拡張現実の世界で交流する、(7)ロボットを避けて通る、(8)ロボットに案内される、の8つのテーマに分けて、「導入(現在の生活ならびにロボットとの共存の問題点)」「研究成果(解決の手掛かりとなる本研究の知見)」「展望(ロボット共存する生活のあるべき姿)」についてわかりやすい文章とイラストにまとめた。 2)提案した生活シーンの評価・検証 上記の「導入」と「展望」として描いたロボットと居る生活シーンのイラスト(住宅、高齢者施設、病院、店舗、学校、公園、電車・駅、商店街)を、専門家(建築計画研究者、ロボット開発者など)に提示し、評価および意見交換を行った。 3)研究成果のまとめと公表 2期6年間にわたる研究成果を、上述の文章とイラストにまとめたほか、日本建築学会の空間研究会で発表・公表して、ロボットデザイナーなどの各方面の専門家と意見交換した。
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