2011年度は地域再生に寄与する地域ルールの多様化をテーマに研究し、以下の2つの成果を得た。 1.地域ルールの多層化・多時化・多元化 (1)多層化(フォーマルとインフォーマル)する地域ルール;地域ルールはフォーマル・ルールとインフォーマル・ルールに大別されるが、今日ではフォーマル・ルールとインフォーマル・ルールが、それぞれ多様化しており地域ルールの多層化が顕著である。(2)多時間化(時間軸を考慮)する地域ルール;一般的には地域ルールは、一度策定されると、時代に合わせて改定されるものの比較的長期間にわたって運用されるものであった。しかし今日では時間軸を導入した地域ルール、いわば多時化した地域ルールが表れている。(3)多元化(主体が多様化)する地域ルール;従来はまちづくりに関する地域ルールは地方自治体のまちづくり関連部局がその過半を担っていた。しかし街づくりへの市民の参加、市民との協働の進展は地域ルールを担う主体を多様化させている。 2.「つくるルール」・「育てるルール」・「縮退するルール」 (1)「つくるルール」;「つくるルール」は土地利用を激変させる際の時点適合的なルールであり、土地利用などを激変させる際のルールであり、つくる行為をその時点でまちづくりを適合的にする行為である。(2)「育てるルール」;「育てるルール」は「つくられたもの」を育てて、より長期的にみた時代に適合的なまちづくりに育てる行為である。「育てるルール」は「基本的枠組み合意」、「包括的秩序形成契約」的な性格を持つ。(3)「縮退するルール」;「育てるルール」の必要性はその延長線上に「縮退するルール」の必要性がでてくる。負の方向に変化するエネルギーを整序する、あるいは食い止める法規制のあり方である。
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